急速充電ステーションの要件と直流充電の制限事項

三相400Vの交流電源系統の場合、最大充電電力は、特にヒューズその他の要件により22kW(32A)または43kW(63A)に制限されています。そのため、大容量車載バッテリーの急速充電には専用の充電タワーでの直流(DC)充電方式が望まれます。

一般的な充電出力

現在、400V程度のバッテリーパックであれば、通常は直流式急速充電タワーで充電が行われます。一般的な充電出力は最大50kWで、走行距離400kmのバッテリーの充電に約80分を要します(図1)。 現在使用されている充電プラグの最大許容連続充電電流は200A、400Vのシステムで可能な充電出力は最大80 kWとなっています。400kmの走行距離を確保するのに要する充電時間は最短で50分、これをさらに短縮することは現状では困難です。

従来の自動車に「給油」するのと同様に電気自動車を充電できるようにすることが、eモビリティ分野でインフラ全体の開発にとってきわめて重要な課題です。そのため電流を増やさず、かつ短時間で同量の電力を供給するために、電圧を800~1000Vに上げる試みがすでに始まっています。将来的には、水冷式充電プラグを採用したバッテリーテクノロジーによって充電電流を350Aに増大させることが可能になると予想されています。つまり、400kmの走行に必要な容量を、1000Vの電圧で約11分で充電できるようになるということです。

Fig. 1: 400kmの走行に必要な充電時間は、充電電力によって異なります

急速充電ステーションの充電能力の向上

今後の急速充電タワーは、最大350kWの充電出力を備え、様々な電圧および容量の車載バッテリーに対応する必要があります。

複数の充電タワーを持ち、電気自動車での長距離走行に対応できる大出力マルチポイント充電ステーションには、中レベルの独自の電圧接続が必要とされます。 交流式(AC)充電ステーションは、車両との長時間の接続が必要です。これに対し直流式充電ステーションでは、車載バッテリーからエネルギー供給系統への逆送電機能(V2G機能)は不要です。電流は電源供給系統から車載バッテリーにのみ流れます。

直流式充電ステーションは、高度なネットワーク親和性、ピーク負荷管理、電力損失の極めて少ないライドスルー能力を実現するために、バッテリーバンクや太陽光発電プラントに統合する選択肢も考えられます。電源供給網をサポートする場合は、負帰還可能なAFE(Active Front End)整流装置を備えている必要があります。

Fig. 2: 複数の充電タワーを備えた充電ステーションの基本的な回路図

充電インフラの回路構成

複数の直流式充電タワーを備えた充電ステーション向けに最も広く採用されている回路構成は、50Hz変圧器を備えた中央プラントセクション、高調波低減用入力フィルター装置、無効電力補償装置、系統側整流装置です。それぞれの充電タワーには、充電パラメータの調整および制御用として車両側DC-DCコンバータも含まれています。

充電タワーを個別にエネルギー供給網に接続する場合は、さらに主変圧器、入力フィルター装置、電源整流装置も充電タワーに統合する必要があります。

Fig. 3: AFE電源整流装置

アクティブフロントエンド電源整流装置

システムの位相への影響を最小限に抑えるために、オプションの貯蔵装置からエネルギーを回収せずに、IGBTベースのAFE整流装置として整流装置を構成する方法もあります。これは昇圧コンバータとして機能するため、低入力電圧からバッテリー充電用の高電圧を生成する場合でも、充電タワーに必要なのは降圧コンバータのみになります。

Fig. 4: 絶縁DC-DCコンバータ(デュアルアクティブブリッジ)

絶縁DC-DCコンバータ

車両の絶縁コストを最小限に抑えるために、充電電圧と供給電圧は絶縁されている必要があります。それぞれが電源に接続されている充電タワーでは、図2に示す変圧器によってこの絶縁が行われます。一方、DC-DCコンバータ内での絶縁は、スイッチング周波数が高いため、変圧器を大幅に小型化できるメリットがあります。

中央整流装置を備えた充電ステーションの充電タワーの場合には、これは必須です。DC-DCコンバータによる高スイッチング周波数には、スイッチング周波数が高いことによるバッテリー側出力の平滑化要件の緩和というメリットもあります。

Fig. 5: ワイヤレス充電の基本的な電力伝送回路図

ワイヤレス充電

充電は、共振モードで2つの対向する共振回路間のエアギャップを利用した誘導電力伝送によって行われます。一次巻線はフロアパネルに、二次巻線は車両の底面に配置されます。エアギャップを150mm以上取ることができるため、電力の伝送は10~100kHz以上の周波数で行われます。電力伝送回路は、充電ステーション側と車両側の高周波Hブリッジで構成されます(図5)。

一次コイルと二次コイルの距離が十分に近ければ、2個のHブリッジが共振モードで動作します。 伝送可能な電力と伝送効率は、巻線の起磁力、共振回路の品質と結合係数によって決まります。今日の乗用車向けアプリケーションでは、約80%の効率で20kW未満に過ぎないため、有線充電に比べて技術的なコストが大幅に高くなります。これらの要因により、今のところ、ワイヤレス充電は一部の特定分野向けのソリューションに限られています。

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