走行距離が大きく伸びつつある電気自動車

電気自動車市場は引き続き成長傾向を示し、バッテリーのみで走行する完全な電気乗用車の走行可能距離はますます伸びていくことが予測されます。

この市場の発展には、効率性に優れた駆動用モータや軽量かつ大容量の車載バッテリーのみならず、私有の車庫、市街地や郊外のショッピングセンター、商業施設に充電設備を備えた充電インフラや、高速道路や幹線道路といった主要な自動車道沿いに複数の急速充電ポイントを備えた充電ステーションなど、全国規模の公共駐車場が必要不可欠な前提条件です。

複数の急速充電タワーを備えた充電ステーション

複数の急速充電タワーを備えた充電ステーション

完全な電気自動車による長距離走行を実現するためには、電気自動車を、従来の自動車の「給油」と同じように充電できるようにすることが大きな目標となります。つまり、運転途中に立ち寄って数分で充電を終えられることが必要で、これには現在のガソリンスタンド網で提供されているレベルの急速充電に対応したインフラが必要です。したがって、急速充電タワーを備えた充電ステーションは、極めてパワフルな半導体モジュールを必要とする充電インフラの市場区分に該当します。

現在のバッテリーテクノロジーでは充電電流に限界があるため、急速充電タワーは、主に中間充電(走行距離の延長)用に止まっており、バッテリーの完全充電を目的とするものにはなっていません。現在のバッテリーテクノロジーで150Aを超える充電電流を使用しても、いたずらにバッテリーの寿命を縮めるだけとなる可能性があります。また、バッテリーの充電レベル(SoC:State of Charge)が高くなるにつれて、充電電流を下げる必要があります。そのため、現在のバッテリーテクノロジーでは、中間充電をバッテリー容量の約30~80%の範囲に収めざるを得ません。したがって、現段階での急速充電は、電気自動車が長時間停止しているときに行うフル充電を補完する役割となっています。

パワーエレクトロニクスによる充電時間の短縮

充電時間を30分未満に短縮するには、約20kWhの容量を持つバッテリーに対して40kWの充電出力が必要です。通常は230Vの電源を利用する低出力充電装置用のAC/DCコンバータを採用した「車載」充電装置は、急速充電に必要な出力という観点からは、決して経済的とは言えません。充電出力が約22kWを超える場合は、必要な直流電圧を「車外」のACエネルギー供給系統から生成する直流式急速充電タワーの方が有利です。 そして、このような急速充電タワーには、最先端のパワー半導体モジュールが不可欠です。

電力変換装置に関する長年の経験

セミクロンは、太陽光発電および風力発電、出力品質および電気自動車といった、数kWから最大数MWまでの様々な出力のエネルギー変換装置向けパワーモジュールの分野において長年の経験を有しています。

急速充電タワーのコア部品となるパワー半導体

最先端のパワー半導体テクノロジーにより、ネットワーク親和性の高い電力を使用できるとともに、充電電流を自在に制御することができます。そのため、最適なバランスで充電時間の短縮とバッテリー寿命を重視した充電方式を実現します。シリコンまたはシリコンカーバイドを採用した最新の半導体チップによる高スイッチング周波数が可能で、特殊なモジュール回路構成で、省スペースの受動素子を使用することができます。最先端のパワーモジュールの機能を利用して、中央の1台の主コンバータからすべての充電タワーに電源を供給することができます。

未来のeモビリティの中核となる製品

パワーエレクトロニクスは、ハイブリッド車だけでなく、あらゆる電気自動車が作り上げる未来のモビリティの鍵となるテクノロジーです。可能であれば、屋外の無人急速充電ステーションを20年間、信頼性を維持しつつ安全に運用することが求められます。それには、低損失かつコンパクトな充電タワーを実現できる回路構成であるだけでなく、幅広い温度範囲で優れた信頼性を発揮し、できる限り低コストであることが、パワー半導体モジュールにとっての前提条件です。 自動車道沿いの「充電ステーション」の大規模な充電システムが使用できなくなれば、途中で車両を乗り捨てる事態になりかねません。電気自動車に貯蔵できるエネルギー量は少なく、まだ充電ステーション網の密度は低いため、その影響は、ガソリンやディーゼル燃料を供給するガソリンスタンドに比べて、影響はより大きなものになる可能性があります。

セミクロンのパワーモジュールには、はんだ付け、シンター、圧接、スプリングコンタクトによる組付けおよび接続技術が採用されています。このテクノロジーを充電ステーションに応用することで、信頼性と堅牢性に関する要件を満たすことができます。実績のある即使用可能なパワーアセンブリに加え、従来のIGBTモジュール、SKiiP-IPM、ダイオード/サイリスタパワーモジュール、ディスクリート半導体もあります。セミクロンは、高スイッチング周波数のアセンブリを提供すべく、シリコンおよびシリコンカーバイドテクノロジーによる高速スイッチング素子を使用したモジュールと、3レベルNPCおよびTNPC回路構成のモジュールの両方を製造しています。

直流式急速充電タワー用セミクロン製品